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白山国立公園

写真:大汝峰と紺屋ヶ池
[大汝峰と紺屋ヶ池]

地図

払暁、神官の叩く太鼓に目覚めた室堂(むろどう)の宿泊客は、まだ暗い中を岩を踏みしめて神官とともに御前(ごぜん)峰に向かう。そして、山頂で御来光を迎えるのである。明るくなった帰り道は展望を楽しみながら、ゆっくりと下る。約束された晴天に、今日の行程の楽しさを予感しながら。

古い歴史を持つ高山植物の楽園

北アルプスの高山に登って西方を望むと、遠くに夏でも頂に雪を載せた山を見ることができる。これが白山で、山麓を含む一帯が国立公園に指定されている。

養老元年(717)に泰澄(たいちょう)大師によって開山されたと伝えられる白山は、富士山、立山とともに昔から日本三名山に数えられ、山岳信仰の対象とされてきた。山頂には白山比(しらやまひめ)神社の奥宮が祀られており、末社の白山神社は全国に3千余もあるといわれる。

また、白山は17世紀までは、活動の記録のある火山でもある。最高峰御前峰(2,702m)、大汝(おおなんじ)峰、剣ヶ峰などが形成する山頂部には、翠(みどり)ヶ池、紺屋ヶ池など珠玉のような火口湖が散在し、夏も各所に残る雪渓や、豊かな高山植物群落とともにこの山の魅力をつくっている。

白山は高山帯を持つ山岳としては日本で最も西にあり、日本における高山植物の分布の、事実上の西の限界である。ハイマツをはじめ、白山を分布の西限とする植物が100種以上あり、山頂部の至るところに見事なお花畑が展開する。また、本州の亜高山帯針葉樹林を代表するオオシラビソも、この山より西には分布していない。代表するオオシラビソも、この山より西には分布していない。

分布域の辺境にあるという地理的位置のため、高山植物は、例えば北アルプスの白馬岳などに比べて、種類数としては決して多いとはいえない。しかし、古くから登られた山だけに調査はよく行われており、ハクサンチドリ、ハクサンフウロ、ハクサンイチゲなど、高山帯に広く分布する種の中に、白山にちなむ和名を持つ植物はずいぶん多い。

備された登山道

写真:中宮道から白山主峰
[中宮道から白山主峰]

白山主峰に直接登るには、石川県白山市(白峰村市ノ瀬)と岐阜県白川村大白川から登山道がある。どのコースをとっても標高大汝峰と紺屋ヶ池整備された登山道差1,000m以上の登高が必要だが、登山道はよく整備され、歩きやすい。夏季、市ノ瀬から少し上の別当出合までバスが運行するので、ここを出発点とする登山者が多い。標高約2,400mの室堂に宿泊施設があり、ここを基地として山頂部に設けられた池巡り歩道などの探勝路を歩けば、容易に高山帯の自然を楽しむことができる。また、主稜線を北に中宮、岩間方面や、南に別山(2,399m)を経て、岐阜県郡上市(白鳥町石徹白(いとしろ))や福井県勝山市方面へ縦走することもできる。

山麓の大型動物たち

写真:カモシカ
[カモシカ]

動物では、昭和の初期あたりまではライチョウが生息していたと伝えられるが、現在では見られない。一方、山麓にはブナを主とし、ミズナラ、トチノキ、カエデ類などを交えた広大な広葉樹林が広がり、ツキノワグマ、ニホンザル、カモシカなどの大型哺乳類や、イヌワシ・クマタカなど希少猛禽類が生息する。スーパー林道沿線のブナオ山には、石川県が設置した動物観察舎があり、カモシカなどを比較的容易に観察でき、運がよければ雄大なイヌワシの飛翔にも遭遇できる。

山麓には中宮、岩間、鳩ヶ湯など温泉が湧出している。北側の山麓をスーパー林道が通り、石川県と岐阜県を結んでいる。沿線には蛇谷の渓谷が走り、姥(うば)ヶ滝をはじめ見どころが多い。岩間には、湧出する温泉に含まれる石灰華が凝結して、高さ2mにも成長した噴泉塔(ふんせんとう)群が見られる。

石川県は白山市に「白山自然保護センター」を設置し、白山地域の調査研究と保護にあたっているが、中宮に分室として展示館を置き、利用普及活動を進めている。

高山植物

写真:ハクサンフウロ
[ハクサンフウロ]

高山帯とは山岳の高所で、寒冷な気候のため、高木(主幹を立て高く育つ樹木)が生育できない地帯である。本州中部では標高2,400~2,600m以上であるが、北方にいくほど低くなり、大雪山では1,700~1,800m以上である。

高山帯に分布の中心を持つ植物が高山植物で、日本ではハイマツが代表的。高山でもハイマツが生育できない雪田や風衝地などでは、それぞれの環境に適した多種類の高山植物が育ち、お花畑をつくる。

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