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陸中海岸国立公園

写真:北山崎
[北山崎]

地図

平成23年3月11日、三陸沖を震源とするM9.0の地震と、最大遡上高度40mに達する津波が東日本を襲った。この震災による死者・行方不明者は約19,000人に及び、沿岸一帯の人々の生活と産業に甚大な被害をもたらした。陸中海岸国立公園の自然についても、海浜植生が大きな影響を受け、場所により海浜の形状が変わるなどの影響があり、利用施設が破壊されるなどの被害が生じた。

国立公園の整備を地域の復興と結びつけて進めるために、今、この公園には大きな使命が与えられている。

南北180kmに及ぶ海岸公園

写真:碁石海岸
[碁石海岸]

岩手県北部から宮城県北部まで、南北180kmにわたる長大な海岸公園である。昭和30年に国立公園に指定され、39年に釜石以南を、46年に久慈(くじ)地域を追加している。

公園内の海岸は、宮古市付近を境にして大きく景観が異なる。北部は海岸段丘が発達し、海岸線は出入りが少なく比較的単調だが、海食崖が続く。特に黒崎から北山崎にかけては、延長8kmにわたって高いところでは200mに達する断崖が連続し、海のアルプスとも呼ばれる豪快な景観をつくっている。そのほか、鵜の巣断崖などが代表的なものである。

一方、南部はリアス海岸で、深い湾入と岬や半島の張り出しが複雑に繰り返されるが、外洋に面した船越半島には赤平金剛(あかびらこんごう)などの大規模な海食崖が見られる。

海岸に島嶼(とうしょ)は少ないが、岩礁は多く、層理の鮮やかな三王岩をはじめ各所に洞門や潮吹き岩などの奇観をつくる。宮古の浄土ヶ浜は、海食を受けた小さな半島が白砂の浜と向き合い、この公園随一の利用地点となっている。南部の碁石(ごいし)海岸は黒色の玉石が敷きつめられていることからこの名がある。付近の海岸は複雑な地形で小島や岩礁が多く、穴通磯(あなとおしいそ)、垂水浜などの景勝がある。唐桑(からくわ)半島には海食洞や折石など奇岩が多い巨釜半造(おおがまはんぞう)がある。

写真:三王岩
[三王岩]

公園区域の南端に近い気仙沼大島はこの公園最大の島であり、また、唯一の有人島である。島内の亀山は山頂からの展望がよく、利用施設も多い。

寒流と暖流が接する地域であるため、植生には変化が多い。海岸林の主体はアカマツだが、南部ではクロマツも生育している。また、タブノキ、トベラなど、この地域を分布の北限とする植物がある。一方、本州中部では亜高山帯上部に育つハクサンシャクナゲが、北山崎に見られる。

沿岸には釜石市の三貫(さんがん)島、宮古市の日出(ひで)島など、ウミネコやウミツバメ類、その他の海鳥の繁殖地も多い。また、冬季はオジロワシやオオワシも渡来する。

大震災を越えて

写真:浄土ヶ浜
[浄土ヶ浜]

大震災は陸中海岸国立公園にも大きな影響を与えた。陸前高田に17世紀に整備された高田松原は津波により跡形もなくなり、各所の海岸近くにある遊歩道や休憩所などの公園施設は約半数が被害を受けた。アマモ場などの海草の生育地にも影響があった。また、海鳥の繁殖地では、三貫島のウミツバメ類の営巣地に崖崩れがあるなど、影響が危惧されている。しかし、北山崎などの海食崖や三王岩などの奇岩は、ほぼ被害を免れた。

この公園の沿岸一帯は日本有数の漁場である。それだけにこの地域には久慈、宮古、釜石などの重要港湾(公園区域からは除外)のほか、大小の漁港が多い。これら多くの港湾もそこに立地する都市や産業施設や漁船も、また後背の集落や農耕地も、大きな被害を受けた。

今、この公園や南三陸金華山国定公園などを含めた三陸海岸一帯の自然公園体系を再編し、水産振興にも役立つ里地・里海型の新しい「三陸復興国立公園」を指定することを軸に、海岸長距離歩道を整備したり、被災を記録し後世に引き継ぐ場とするなどの施策によって、地域の復興に寄与しようとする計画が検討されている。

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