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屋久島国立公園

写真:森林内
[森林内]

地図

屋久島は巨樹の島である。縄文杉などのヤクスギをはじめ、山麓の森で出合うツガなどにも、ほかではなかなか見ることのできない立派な木が多い。森林内に横たわる倒木やその上を覆って育つコケも、原生的な雰囲気を高めている。巨樹はそれ自体が人に畏敬の念を呼び起こす存在だが、巨樹を育んできたこの森には、何よりも沈黙が、人の感覚を研ぎ澄まし、精神を思索へと誘う深い沈黙がある。

高温多雨が育む巨樹の森

写真:屋久島・宮之浦岳
[屋久島・宮之浦岳]

屋久島は昭和39年に霧島屋久国立公園に編入され、その後平成19年に口永良部(くちのえらぶ)島が追加編入されたが、平成24年3月に霧島屋久国立公園から分離し、屋久島国立公園として独立した。なお、平成5年に、国立公園の特別保護地区や原生自然環境保全地域を含む一帯が、白神山地とともに日本初の世界自然遺産に登録されている。

屋久島は面積505km2、周囲約130kmのほぼ円形の島である。中央部には、九州最高峰の宮之浦岳(1,936m)をはじめ、永田岳、黒味岳などの山岳が連なり、洋上アルプスとも呼ばれる。「月に35日雨が降る」といわれ、年間降水量が平地でも4,000mmに達する多雨地域であり、島全体が森林に覆われている。林床にコケが多いのは、この多雨の影響である。
植生は海岸の一部にはマングローブやガジュマルなどの熱帯系殖物があるが、山麓は常緑広葉樹林帯、上部はこの島独特のスギ帯となる。スギのうち樹齢1,000年以上のものをヤクスギと言い、巨樹に生長する。屋久島は、江戸時代には鹿児島藩が屋久島奉行を置いてヤクスギの伐採を行っていた。大正3年に発見されたウィルソン株は300~400年前に伐採された後、根株だけが腐らずに残っているもので、内部に祠(ほこらが)祀ってある。

昭和41年に発見された縄文杉は幹周り16m以上で、屋久島のシンボルのようになった。踏圧などによる影響を避けるため、そばには寄れない。ほかに大王杉、大和杉、紀元杉など、名前のついた巨樹が多い。また、花之江河は日本最南の高層湿原である。

島内の探勝には、縄文杉を目指す大株歩道、渓谷が美しい白谷雲水(しらたにうんすい)峡、手軽に入れるヤクスギランドなどがある。また、島を一周する車道もあり、山上とは異なるアコウやガジュマルなどの植物や、千尋(せんぴろ)滝などを見ることができる。動物では、ともに固有亜種のヤクシカとヤクザルは多く、どこかで出合える可能性が高い。

盛んなエコツーリズム

写真:塚崎サンゴ礁
[塚崎サンゴ礁]

この島の利用形態は、登山、トレッキング、海水浴、シーカヤック、スノーケリングなど多彩である。島の自然資源を永続的に活用し、地域振興にも貢献することを目標として町が中心となり、関係団体が参加する「屋久島町エコツーリズム推進協議会」が設立され、ガイドの登録・認定などの活動を行っている。

緑の火山島

口永良部島は屋久島の西北西約12kmにある面積約38km2の有人島である。島の東部に最高峰古岳(657m)、新岳、野池山などの山岳がある。新岳は近年もたびたび噴火している活動中の火山であり、周辺には多くの噴気孔や割れ目火口があり、特異な景観を示す。山麓には一部にスダジイなどの良好な自然林が残るほか、植物の種類は多く、「緑の火山島」と呼ばれる。ここにはエラブオオコウモリが生息している。

また、海岸には海食崖や海食洞がある。島内には牧場もあり、温泉も4ヵ所に湧出している。交通は屋久島宮之浦港から町営フェリーが1日1往復運行している。

アカウミガメ

写真:アカウミガメ

日本近海には5種のウミガメが見られるが、産卵に上陸するのは大部分がアカウミガメで、茨城県以南の、主に太平洋岸の砂浜で産卵する。ウミガメ類は過剰な捕獲や産卵場所の消滅などにより、世界的に個体数が減少している。屋久島の永田浜は、アカウミガメの上陸・産卵数では日本一である。行政機関や関係団体によって協議会が結成され、観察ルールを定めて、少しの刺激にも敏感なウミガメの産卵環境の保全につとめている。

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