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浄土平ニュース

<No.54>
2003年6月23日(月)


トイレ問題を考える

 巻頭から あまり気持ちの良くない話題ですみません・・・。 
 天候にもよりますが、ビジターセンター館内に元気よくハエたちが飛び回る季節となりました。彼らは晴れた穏やかな天候の日に活発に活動するようです。当センターの構造上、一度入館したハエはなかなか外に出られず、明るい方へ集まるばかりでいつまでも飛び回っているので職員も閉口しています。来館されたお客さんも決して心地よくはないことでしょう。申し訳ございません。
  ところで、このハエはどこからやって来るのか? それが問題です。不思議なことに、標高の高い さわやかな山岳地にも意外に多くのハエがいるものですが、"自然"の状況下で生息するもの以外に、私たち人間(登山者)が原因となって発生している場合も多いのではないか、と考えられます。
  鎌沼自然探勝路の 酸ヶ平避難小屋にあった「雑記帳」に、最近トイレに関するコメントが目立つようになりました。利用者からの生の声として、ごく一部をご紹介させていただきます。(お名前は省略)
[2001年9月2日]
酸ヶ平避難小屋に泊まらせて頂きました。キレイな小屋を大切にしたいですね。
トイレを作っていただきたい。小屋のまわりがきたない。(東京 日野市)

[9月7日]
小屋周辺のキタナサ。
目をおおうばかり、なんとかしろ
福島県、福島市、行政、山岳関係者のふん気をうながしたい。

[2002年8月23日]
りっぱな避難小屋でうれしい。でもトイレがない!仕方なく外で・・・。
きれいな花が沢山咲いているのに何て事でしょう!
どうしてトイレを作らないの?
トイレ設備の維持費がないなら有料にすれば良いではありませんか。扉に料金箱をつけて100円入れなければあかないようにするのです。扉に「すこし高いけど山を守る為にお願い」と書いてあれば皆「おー そうか!」ですよ。
どうしてもお金のない人は外でするけど10人の内8人が使えば山はうんときれいになる。
皆様 どう思いますか?(愛知県犬山市)
 この意見にあるように、浄土平駐車場に公衆トイレがある以外、周辺の登山道にはトイレがないわけですが、避難小屋や兎平駐車場などの周りで用を足してしまう人が相当数いるという現実があります。それに伴なう、ごみや臭いもあり、前述のハエの発生源もこれではないのかという意見があります。 
 登山に出発する前に、浄土平で必ず済ませていただくよう周知を図るなど登山者への呼びかけは今後も徹底していかなければなりませんが、寒い日や長時間のコースを歩く場合など"やむを得ない"時もあるでしょう。浄土平周辺のようにシーズン中3万人を超すほどの登山者がある場所では、"やむを得ない"人もそれだけ多くなるということです。
 現在、吾妻山では具体的に山岳トイレ設置の計画はありませんが、現状を踏まえ自然をこれ以上汚さないために"トイレ問題"をどうするのか、みんなで考えていかなければなりません。解決策は、必ずしも施設の設置に限らないと思います。磐梯山や早池峰山など、携帯トイレの普及を図っている例もあります(浄土平ビジターセンターでも販売しています。5枚入1,000円)。まずは自分の問題として意識するところから始めてみませんか。ご意見をお聞かせください。
最近のできごとから

 吾妻山開きは6月1日(日)、台風4号から変わった温帯低気圧の影響もあり、あいにくの雨模様のなかビジターセンター玄関での安全祈願、清掃登山・自然観察会などが行なわれました。
 5月26日(月)夕方の 三陸南地震 には驚きましたが(福島市で震度5弱)、幸い浄土平周辺での被害はなかったようです。その影響かどうかは分かりませんが、6月6日夕方、一切経山北東側の斜面で大音響とともに岩の崩落が発生し、砂煙が舞い上がりました。登山道からは遠く離れており被害等は一切ありません。

 浄土平をふくむ東北地方南部は6月12日、平年より2日、昨年より1日遅く梅雨入りしました。一般に、東北北部に行くほど梅雨がはっきりしなくなり、北海道には梅雨がないと言われますが、「浄土平には梅雨がない」という人もいるくらいで、梅雨入り後も雨は少なく、鎌沼の水も減ってきています。
 天候はおおむね安定し、暑くもなく寒くもなく、湿度も快適なよい季節です。
天然のエアコン?浄土平

 浄土平は福島市内にあるのに、なぜ寒いのか…それは簡単に書けば約1600メートルの標高にあるからです。
 しかし標高が高いとなぜ寒いのでしょうか?
  もともと気温というのは空気の温度です。空気の仕組みとして大地で太陽光などにより暖められた空気は軽くなって上空へとあがり気圧の低いところ(標高の高い場所)へいき、そこで暖められた空気は膨張活動をします。「膨張」とは空気のかたまりが周りの大気の壁を押し上げることなので、それには多くのエネルギーを必要とします。その際に奪われるエネルギーの消費が気温の低下につながるといわれているのです。

 一般的に1000メートル登るごとに約6℃の割合で気温が低下するといわれ、ここ浄土平の場合、平地を福島市内としますと標高差が約1500〜1600メートルですから約7〜10度の気温低下があると考えられます。
 ところで標高が高くなると太陽に近づいていくため、空気は熱せられて気温はあがるはずという意見もあります。しかし太陽と地球の距離は約1億5000万キロなので、この程度の標高差(仮に富士山としても)では、気温が上昇するほどの影響はないと考えられます。
 しかし、太陽の光が人間に与える体感的な暖かさは図り知りません、ですから「高山は平地より寒い」ということを考えて、行動はできるだけ昼間にすること。防寒の準備は念入りにするなど、万全の装備で登山を楽しまれることをオススメします。(菊地)
植物と昆虫

 浄土平も緑に包まれ夏に向けて準備万端といった感じ。遠くに見える山々の深緑がとてもキレイです。
 木々の葉を見ると何者かに食べられた痕が見られると思います。これらの多くは昆虫達によるものですが、みなさんはどのような昆虫の仕業かご存知でしょうか?昆虫によって食べる植物が異なるため、色々な植物を見ると色々な昆虫達と出会えます。

■浄土平の植物4種に見られる昆虫
浄土平の植物   葉を食べる主な昆虫
ミネヤナギ ヤナギルリハムシ
ダケカンバ セミスジニセリンゴカミキリ
ミヤマハンノキ リンゴコフキゾウムシ
チャイロサルハムシ
イタドリ イタドリハムシ

 しかし彼らは警戒心が強く恥ずかしがりや、人間の気配がすると足を丸めて落ちてしまったり、急いで葉の裏に隠れてしまいます。なので観察する時には気づかれないようにそっと木々に近づいてみましょう。きっと新しい発見があると思います。
(ビジターセンターに昆虫の図鑑が置いてあります。わからない事があったら是非ご利用下さい。)     

(by.須田っち)

浄土平周辺の花々(6月〜7月)
ビジターセンターでは登山、散策、植物の開花状況などのご案内をしています。お気軽にお尋ねください。
※(  )内は花の色です

浄土平

マルバシモツケ(白)、ネバリノギラン(うす茶)、イソツツジ(白)、ベニバナイチヤクソウ(ピンク)、ワタスゲ果穂(白)
クロマメノキ(うす黄)、モウセンゴケ(白)、ツマトリソウ(白)、アカモノ(赤と白)、ウラジロヨウラク(ピンク)、シラタマノキ(白)

酸ヶ平・姥ヶ原

ミヤマリンドウ(うす紫)、コケモモ(うすピンク)、ネバリノギラン(うす茶)、シラネニンジン(白)、コバイケイソウ(白)、クロミノウグイスカグラ(うす黄)

兎平・栂平・桶沼
ツマトリソウ(白)、マイヅルソウ(白)、ゴゼンタチバナ(白)、ハクサンシャクナゲ(白)、ズダヤクシュ(白)、コバイケイソウ(白)
 毎年 春から秋まで、各施設の軒下で巣づくり・子育てをするイワツバメ。今年も定点観察させてもらおうと思います。
 今春イワツバメたちが浄土平に飛来したのは、例年と同じか やや早く、4月上旬ころだったようです。ビジターセンター職員が最初に来たのは4月11日。すでにイワツバメたちに先を越されていました。
 つがいによる巣づくりは、ゴールデンウィークまでは例年どおり順調でした。ところが! GW明けからビジターセンターの外装補修工事が再開され、外壁の再塗装のため、途中まで作りかけた巣がすべて削り落とされてしまったのです!やむを得ない作業ですが、イワツバメたちにとっては思いがけない災難でした。
 外装工事は10日間程度ですべて終わり、ぬりたての防腐剤入り塗料も臭っている状況のなか、再び戻ってきて巣づくり作業を再開してくれたので一安心でした。
  しかし、この"一時中断とリセット"の遅れは今でも尾を引いているようです。6月も下旬となりましたが、「巣」と呼べるような形になっているものは玄関の北側・東側あわせて せいぜい5つ程度。例年の同時期ですと抱卵期に入っているつがいもあるのですが、今年は産卵もまだ見られません。イワツバメたちは相変わらず巣づくりに忙しく飛び回っています。こんなに遅れて、はたして無事に子育てまで終えられるのでしょうか?(あさお)

006.オオバコの話
 みなさん「オオバコ」はご存知ですよね? ここ浄土平にもオオバコはあります。茎を交差させて引っ張り合ったり、葉っぱの根元を引っ張ってスジを出したりして、遊んだことがある人も多いと思います。
 ところがある日、「浄土平のオオバコは葉っぱを引っ張ってもスジが出ない!もしや新種か!?」という疑問が発生しました。私はその疑問を解決しようと、通勤途中や家の周辺など、オオバコがあれば葉っぱを引っ張り、イン
ターネットで検索するなど調査を始めました。すると、今までは見向きもしなかったただの雑草の真実が、次から次へと明らかになってきました。
 まずびっくりしたのは、古くから便秘治療や咳どめの薬草または漢方薬として使われているということでした。また、食物繊維が豊富にあることなどから、ダイエットに効果があるともありました。(興味のある方、是非調べてみてください。)炒め物やてんぷらなどにして食べることも出来るようです。
 ただの雑草で、引っ張ったりして遊ぶくらいにしか使えないヤツだと思っていたのに、これほどまでに薬効や用い方があったとは、本当にびっくりでした。           
 また、オオバコは踏みつけに強い植物として知られていますが、それには引っ張って遊ぶことができる理由がちゃんとあったのです。背の低いオオバコは、他の植物と一緒にいると光りを受けることが出来ません。だから他の植物が生えない踏みつけのある場所に生えるのです。そして人や車などの踏みつけに耐えられるように、維管束(養分と水分の通り道)が丈夫に発達し、さらにその周りを丈夫な繊維が取り囲んで守っているのです。オオバコ遊びは、この丈夫な維管束があったからこそ出来たのです。
 オオバコについての知識は増えましたが、結局疑問は未だに解けていません。たくさんのオオバコを引っ張ってはみたものの、引っ張る強さや場所などによってスジが出るものもあれば出ないものもありました。他のオオバコと見分けるには、花や種子もカギになるようなので、これからも調査を続けようと思います。
 雑草もなかなかバカにできないですね。 (深澤)

★ 天文台で☆星☆を見よう! ★
浄土平天文台は今年開館10周年。夜間観測会は毎週水曜・土曜日(7月19日〜8月24日は毎晩)20〜22時に開催しています。今年は火星大接近に合わせイベントも開催されます。
詳細は次号で! (毎週月曜日は休館)
ペンネーム 風のしゃくなげ ”折々の詩歌 8”
「浄土平にゅ〜す」印刷版で好評連載中です!
星空への招待 
69.6万年ぶりの火星大接近
http://www007.upp.so-net.ne.jp/asao-n/hosizora69.htm
 〜 BOOKS 〜 [支部長割り込み記事]
 既にご存知の方が多いと存じますが、先頃、国立公園管理員制度発足50周年の節目の年に当たり、自然公園財団から「レンジャーの先駆者たち〜わが国の黎明期国立公園レンジャーの軌跡〜」が出版されました。
(A5版432頁、定価1,800円消費税込み、送料サービス)
  執筆者は、昭和28年の一期生以下、レンジャーOB51人で、各駐在地の初代や各駐在地が初任地に当たる人が、一人一箇所限定担当で執筆しています。 先輩の苦心談等を読むと、レンジャーOBである私でも「へぇー、そんなことがあったのか」と驚いたり、感心したりするものが多々あります。
 私の経験でも、日中、管理事務所前の芝生園地にキャンプ目的で大型バス2台を乗り入れた右翼団体があり、レンジャーの面子にかけて無謀(?)にも注意して、一人でも手強そうな戦闘服の連中に取り囲まれ、「あわや!」の事態となったことがありました。その結末がどうなったかは、この本を買って読んでください。と言うのは嘘で、一人一箇所限定担当のため、私のは「初任地の妙高高原」という平凡なものです。
  それはさておき、この本は、自然保護等に実際に現場で関わった者の記録であるので、是非ご一読をお勧めします。
 吾妻山・浄土平の自然と歴史を紹介する展示や、レクチャールームでのマルチスライド・ハイビジョン上映、カウンターでの案内、野外での自然教室などを通じて、磐梯朝日国立公園・浄土平周辺の自然に対する理解と自然に親しむために必要な情報提供サービスを行なっています。
 各催しに関するお問い合わせは電話・メールか、カウンターまで。
「吾妻山 自然教室」
7月13日・27日 9時30分〜
毎月第2・第4日曜日

解説員が浄土平〜鎌沼周辺をご案内します。
●所要約3時間。参加費は無料。
●都合により中止もあります。
●平日のガイド派遣はご相談下さい
「自然解説おじさん」
6月29日・7月6日、13日、20日、
21日、26日、27日
9時30分〜、13時〜


「解説おじさん」こと福島県植物研究会の先生が浄土平湿原周辺をご案内します。参加費は無料。

Writers 〜執筆者紹介〜
「浄土平にゅ〜す」No.54の原稿執筆者はこの6名です
挿し絵に初挑戦・・・風のしゃくなげ
薬膳カレーで今日も快調・・・ 菊地
花見山でタイヤをとられた・・・須田っち
2ヶ月ぶりにBOSEとなる・・・深澤
じつは梅雨が好き・・・ あさお
小富士詣でが日課です・・・支部長

次号「浄土平にゅ〜す」は7月下旬発行の予定。投稿大歓迎です!