20年前、桶沼寄りの浄土平湿原付近で撮った写真です。
風景は、季節によっても大きく違いますが、年月の経過による変化もあります。
浄土平によく通っていらっしゃる方は、
おおっ、今とぜんぜん違う!とお感じになるかもしれません。
現在、この場所は、こんなに見通しが良くありません。
木道の両側のミヤマハンノキ、キタゴヨウマツ、ダケカンバ、ハクサンシャクナゲなどが大きく成長して、この写真のような状態になっています。
浄土平周辺は 一切経山の火山活動、とくに明治26年(1893年)の大噴火や、近年の噴気に含まれる火山性ガスの影響を大きく受けていて、植物の再生や遷移の過程をリアルに観察できる場所です。
明治の大噴火では、浄土平におよそ1mもの火山灰が降り積もったといわれています。
浄土平支部スタッフは 長い人で20年以上勤務しています。
記憶の中で、以前はもっと見晴らしがよかったとか、登山道がスッキリしていたと思うことがありますが、写真で比較するとわずか20年でこれだけ変化したことが分かりました。
浄土平ビジターセンターの館内展示には、桶沼付近の森への遷移や、大噴火の前、浄土平付近は森林だった?と想像させる地中から発掘されたオオシラビソの大木を展示しています。
今から40年前。 自然公園財団 浄土平支部が発足した当時の桶沼展望台です。
今とは まったく違いますね。
植物が成長していくことは自然の流れですが、それによって展望が遮られたり、登山道が歩きにくくなったり、湿原が乾燥していったり、観光客・登山客目線でいうと必ずしも嬉しくないことがありますので、国立公園の現場では管理がむずかしくなってくる現実もあります。
視界が遮られるからといってバッサバッサとどんどん伐採していくことはできません。
自然の遷移を見守りつつ、保護と利用をうまくバランスをとって進めていかなければなりません。